【私と声の話】#1
【わたしと声のこと】
「声」を意識するようになったのは、たぶん小学校の国語の時間。
音読のときだった気がする。
わたし、音読がけっこう好きで、
「次、読ませてー!」っていつもドキドキしてた。
先生に当ててもらえるの、すっごくうれしかったな。
その日も、たしか当てられて、よろこんで読んだんだと思う。
でも「えっ、もう終わり?」って思うくらい、短い詩だったかも。
「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ」
っていうフレーズ。
読んでると、雪がしーんと降ってる感じとか、
まっくらで、しずかな夜の風景が、頭の中にぽわんって広がった。
なんだか、そのときのこと、今でもけっこう覚えてる。
その情景も、声に出して読んだ感覚も、ちゃんと残ってる。
もしかしたら、先生にもほめてもらえたのかも。
声に出して読んだことで、誰かがうれしくなるって、
あれがわたしにとっての「はじめて」だったんじゃないかな。